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超富裕層の課税強化策について

超富裕層の課税強化策について

2023年度(令和5年度)税制改正法案が可決・成立しましたが、その法案の中に超富裕層(主に所得金額30億円超と言われる層)に最低22.5%の税負担を求める制度が盛り込まれました。※ミニマムタックスと呼ばれています。

2025年からの適用が検討されている富裕層の課税拡大政策について、制度の背景及び概要を見ていきます。

所得税の税率は、累進税率であり、所得が増えるにつれて税負担率が上がるように設計されています。
総合課税の対象となる給与所得や事業所得は最高45%(課税総所得金額4,000万円以上)の税率で課税されます。一方株式配当や株式譲渡益等の金融所得は、分離課税が適用されて、これよりずっと低い15.315%(国税)の税率でしか課税されません。
「1億円の壁:1億円を境に富裕層になるほど税負担率が下がる問題」の是正を求める声が政府税制調査会で相次ぎました。
収入が高い人にとっては、所得税よりも金融所得課税で納税するほうが節税につながるということになります。これが「1億円の壁」の原因になっていると言われます。
金融資産(金融所得)は富裕層に集中しており、国税庁「申告所得税標本調査(税務統計から見た申告所得税の実態)」によると、税負担率は合計所得が増えるほど増加するのが基本となりますが、1億円をピークにそれ以上の所得金額では逆に負担率が下がっていく傾向にあります。

 

2025年から実施される予定の超富裕層課税について

■超富裕層の課税強化策の仕組み(ミニマムタックス)とは

超富裕層に適用されるミニマムタックスとは、年間所得が3.3億円超の納税者において、3.3億円超の部分の所得に対する所得税額の割合が22.5%を下回る場合、22.5%との差分を追加課税する仕組みです。課税対象者は200~300人程度で、税収は300~600億円程度にとどまると考えられています。

・日本版ミニマムタックスの仕組みとは
(計算式)
(基準所得金額※-3.3億円)X 22.5%-基準所得税額※=追加納付する税額

※基準所得金額:合計所得金額(給与所得等)に申告不要を選択した上場株式の配当や株式譲渡益の金額を加算します。
ただし、源泉分離課税とされる所得やNISA(上限1,800万円)やエンジェル税制による非課税所得(上限20億円)については除外されます。
※基準所得税額:基準所得金額に係る所得税の合計税額

■最後に

日本で申告が必要な超富裕層は、国内だけでなく海外にも金融資産を多く保有していると言われており、今後の金融資産保有の在り方を考え直す機会となるかもしれません。

何かございましたら税理士法人 税務総合事務所まで、お気軽にお問い合わせください。

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