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ケーススタディ

株式譲渡について

Ⅰ 上場株式の譲渡損失と配当等の損益通算

上場株式等、公募株式投資信託、特定公社債等の売却損失と上場株式等の配当、公募株式投資信託の収益の分配金、特定公社債等の利子等は損益通算が認められており、その場合上場株式等の配当、公募株式投資信託の収益の分配金は分離課税を選択します。

※確定申告で損益通算をした結果、配偶者控除や扶養控除の適用外となる、国民健康保険料に影響がでる場合があります。

上場株式等の配当、株式投資信託の収益分配金、特定公社債等の利子等は、特定口座で源泉分離を選択すれば申告は不要となります。
ただし、株式の譲渡損失を申告する場合は上記配当等も申告が必要となります。
特定公社債の利子等は配当控除の適用がなく、総合課税による申告はできません。

 

Ⅱ 上場株式の譲渡損失の繰越控除

証券会社等を通じて譲渡した上場株式の譲渡損失は、毎年連続して申告することで3年間繰り越すことができます。
個人間の相対取引や非上場株式の譲渡は繰越しができません。ただし、他の上場株式の譲渡と損益通算はできます。
複数の特定口座で取引を行っており源泉分離を選択していた場合に、利益がある特定口座と損失がある特定口座がある場合は確定申告をすることにより利益の出ていた特定口座で引かれていた源泉税の還付を受けることができます。
平成28年から上場株式と非上場株式の損益通算はできないことになりました。
NISA内の譲渡益は非課税ですが、損失は無いものとされます。

 

Ⅲ 個人所得税の配当控除

配当を総合課税で申告すると配当控除が受けられます。
これは配当を行う法人で配当の原資となる利益に法人税が課されており、更に配当を受け取った場合に課税すると二重課税となるための調整です。そのため配当控除を受けると源泉された20.315%(住民税を含む)より低い税率になる場合があります。

(1) 課税総所得が1千万以下の場合

① 配当所得の10%(住民税2.8%)
② 一般外貨建等証券投資信託以外の証券投資信託の収益分配の5%(住民税1.4%)
③ 一般外貨建等証券投資信託の収益分配の2.5%(住民税0.7%)

(2) 課税総所得が1千万超の場合

① 配当所得が1千万以下の部分は上記①
② 1千万を超えた部分は5%(住民税は1.4%)
③ 一般外貨建等証券投資信託以外の証券投資信託の収益分配の2.5%(住民税0.7%)
④ 一般外貨建等証券投資信託の収益分配の1.25%(住民税0.35%)
⑤ 配当所得を除いた課税総所得が1千万を超えている場合は、全て②が適用されます。

(3) 配当控除が適用されない配当等

① 外国法人から受ける配当等
ただし、外国株式の配当は適用がありませんが外国で税が賦課された場合に外国税額控除があります。
② 基金利息
③ 特定受益証券発行信託の収益の分配
④ オープン型証券投資信託の収益の分配のうち、信託財産の元本の払戻相当分
⑤ 公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用信託の収益の分配
⑥ 国外私募公社債等運用投資信託等の配当等
⑦ 外国株価指数連動型特定株式投資信託の収益の分配に係る配当等
⑧ 特定外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当等
⑨ 適格機関投資家私募による投資信託から支払を受けるべき配当等
⑩ 特定目的信託から支払を受けるべき配当等
⑪ 特定目的会社から支払を受けるべき配当等
⑫ 投資法人から支払を受けるべき配当等
⑬ 申告分離課税を選択した上場株式等の配当等
⑭ 確定申告不要を選択したものの配当

 

Ⅳ 個人住民税の上場株式等に係る配当所得等の課税方式の見直し

個人住民税において現在所得税と異なる課税方式の選択が可能ですが、令和6年度以降は所得税と一致させることになります。

 

ご不明な点等がございましたら、お気軽に税理士法人 税務総合事務所までお問合せください。

 

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