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ケーススタディ

配偶者居住権について

1.創設趣旨

配偶者居住権を創設した趣旨としては、近年の社会の高齢化の進展及び平均寿命の伸長に伴い、被相続人の配偶者が被相続人の死亡後にも長期間にわたり生活を継続することが少なくないことが法務省より挙げられています。

また、配偶者は、住み慣れた居住環境での生活を継続するために居住権を確保しつつ、その後の生活資金として預貯金等の財産についても一定程度確保したいという希望を有する場合も多くあります。

そこで、配偶者のために居住建物の使用収益権限のみが認められ、処分権限のない権利を創設することによって、居住建物の所有権を取得するよりも低廉な価額で居住権を確保できることを目的とするとしています。

つまり、所有権を取得するより低廉な価額である差額分について、他の相続財産を取得することができるようにしたのです。

 

 

2.適用時期

令和2年4月1日以後に開始した相続、遺贈又は死因贈与

 

 

3.配偶者居住権の相続税評価

(1)配偶者居住権の価額(建物利用権の価額) 

 

 

 

注1 建物の相続開始時の時価は固定資産税評価額

注2 建物の耐用年数は減価償却資産の耐用年数に1.5を乗じる。(6月以上の端数は1

   年とし、6月に満たない端数は切り捨てる。)

注3 建物の経過年数は6月以上の端数は1年とし、6月に満たない端数は切り捨てる。

注4 存続年数は配偶者居住権が設定された年(相続開始日ではない)の厚生労働省

   が公表している完全生命表による。これは5年ごとに作成される。国税庁による

   配偶者居住権の評価明細書に掲載されているので、その年の明細表を参考にす

   る。

 

(2)配偶者居住権の目的となっている土地の使用する権利の価額

 

 

 

4.留意事項

 ①配偶者以外の者との共有建物は適用がない。

 ②民法上は建物全体に配偶者居住権が及ぶが、相続税では居住用部分に限られる。

 ③配偶者居住権は譲渡することができない。

 ④配偶者居住権を放棄した場合には、所有者にその時の価額で贈与したこととなる。

 ⑤配偶者居住権を放棄するにつき金銭の授受があった場合は、総合譲渡所得課税となる。

 ⑥配偶者が死亡した場合は、配偶者居住権はその配偶者の相続財産とはならない。

 ⑦小規模宅地の特例については、被相続人と同居親族が居住用敷地を取得した場合で、

  その敷地が330㎡を超える場合には価格按分によりどちらを優先するかは選択となる。

 

 

 

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