お孫さんが生命保険金の受取人となっている場合に注意
相続対策として、生前にお孫さんへ贈与を行っているケースは少なくありません。しかし、お孫さんを死亡保険金の受取人としている場合、相続税の取り扱いが変わる可能性があるため注意が必要です。今回は、暦年贈与加算との関係や相続税の2割加算について解説いたします。
■ 相続税 ─ 暦年贈与加算との関係
(1)暦年贈与加算対象期間の改正
相続税における暦年贈与加算とは、被相続人が亡くなった際、生前に贈与された財産を一定期間さかのぼって相続財産に加算し、相続税を課税する仕組みです。
令和5年の税制改正により、この対象期間は従来の「死亡日以前3年」から段階的に延長され、令和6年1月1日以後の贈与は最長で7年間が持ち戻し対象となります。
(2)暦年贈与加算の対象となる者
暦年贈与加算の対象者は、被相続人の死亡に伴い「相続または遺贈により財産を取得した者」です。
このため、養子縁組をしていないお孫さんは通常の相続人に該当せず、遺言等で財産を取得しない限り、加算の対象外となります。
そのため、相続対策として「子ではなく孫へ贈与する」方法が選ばれることも多くあります。
(3)お孫さんが死亡保険金の受取人となっている場合は持ち戻し対象に
被相続人の死亡により死亡保険金を受け取った場合、受取人は相続または遺贈により財産を取得した者とみなされます。
つまり、お孫さんが死亡保険金の受取人の場合、相続発生前3年間(令和6年以後の贈与は7年間)に行われたお爺さんからの贈与は、相続財産として持ち戻し対象となります。
「孫は相続人ではないから持ち戻しは関係ない」と誤解されがちですが、保険金受取により扱いが変わりますので、状況に応じて受取人の見直しを検討する必要があります。
(なお、死亡保険金の受取人を変更するだけでは課税関係は発生しません。)
■ 相続税の2割加算に注意
お孫さん(代襲相続人を除く)が死亡保険金を受け取る場合、「相続または遺贈で財産を取得した者」となるため、相続税の申告と納付が必要です。
この際、本来の相続税額に対して2割増しの相続税を負担しなければなりません。
「孫のために財産を残したい」という思いから保険金の受取人を孫に設定するケースは多いですが、税負担が大きくなる可能性があるため、慎重に判断することが重要です。
贈与や死亡保険金の受取人設定には、思わぬ課税リスクを伴う場合があります。ご不明点がございましたら、青山合同税理士法人までお気軽にご相談ください。

