コラム・お客様の声

相続税・税務調査の現場から

コロナ禍もピークが過ぎ、税務調査もコロナ前と同程度(もしくはそれ以上)に行われるようになってきました。そんな税務調査の中でも今回は相続税の調査について、現場での経験を踏まえて話をしたいと思います。

相続税の調査というと不動産(特に土地)の評価が問題になるイメージがあるのではないかと思いますが、実際に調査の現場で一番調べられるのはなんといってもまず預貯金です。

調査の中でお亡くなりになった方(被相続人)の過去の通帳を出すよう言われます。まれに繰り越した通帳は処分してしまったとか、亡くなったので捨ててしまったなどと言われることもありますが、その場合には税務署が金融機関に行って過去の取引履歴を調べます(無いでは済まされません)。

なぜ預貯金が調べられるかというと、預貯金を調べると財産の計上もれが見つかる可能性が高いからです。例を挙げて説明します。

 

〇大きな金額の引き出しがあった場合

これは様々なケースが想定されます。

  • 現金を引き出してタンス預金をしているのではないか?
  • 家族に贈与をしているのではないか?→相続開始前一定期間内の相続人に対する贈与は相続財産に加算されます。
  • 何か大きな買い物をしているのではないか?→その購入したものが相続財産として計上されていなければ計上もれとなります。

 

〇保険料や共済掛金等の引落がある場合

被相続人以外が契約者となっている保険や共済の保険料等を被相続人の預貯金から支払っている場合には、その保険等に係る契約に関する権利等が財産となります。「契約に関する権利」とは、その保険等を解約したとした場合に戻ってくるべき解約返戻金等の金額のことを言います。

契約者が被相続人以外の方だと、名義だけでは被相続人の財産と認識するのは難しいです。しかし保険料や共済掛金を支払っている人がその財産の所有者という判断をされてしまうので、財産の計上もれとして指摘をされてしまいます。(これを指摘されるケース、結構多いです)

 

他にも多々ありますが、預貯金は取引履歴が残っているので、言い方が悪いですが後から隠すことができません。そのため必ずと言っていいほど調べられるものとなります。

このような点を理解して頂き、預貯金の取引に関してはしっかりと管理して頂き、ご家族の方に日頃からその取引の内容をある程度でも理解して頂くということが、万が一の時のためにも大事なことになりますので、参考にして頂ければと思います。

 

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