コラム・お客様の声

役員退職金に対する税務

役員退職金は、長年の功績に報いる重要な制度ですが、その支給金額や手続きに誤りがあると税務上のリスクが生じる場合があります。今回は、役員退職金に関する主な注意点をご紹介します。

■ 役員退職金の支給金額に関する注意点

役員退職金は一般的に「最終報酬月額 × 在任期間 × 功績倍率」で算出されますが、この功績倍率が高すぎる場合、税務上「不相当に高額」とされ、損金不算入となるおそれがあります。

昭和55年5月26日判決では、社長3.0倍・専務2.4倍・常務2.2倍・取締役1.8倍・監査役1.6倍という基準が示され、以後の実務に大きな影響を与えました。一方、昭和51年5月26日判決では、7.5倍という高倍率が認められた事例もあります。

功績倍率は単なる算式ではなく、役員の貢献度・職責・業績・会社規模・同業他社との比較などの整合性が重視されます。

■ 役員退職金を支払った場合の翌月までの住民税の処理

役員退職金は支払時に「退職所得控除」を差し引いた後の金額を基に、「退職所得の源泉徴収税額表」で所得税を源泉徴収します。会社は支払月の翌月10日までに税務署へ納付します(納期の特例の届出を提出している場合を除く)。

ただし、住民税については納期の特例の適用がないため、退職金に係る住民税は支給月の翌月10日が納期限となります。

■ 退職後も実質的に権限を保持している場合

形式上は退任して退職金を支払ったように見えても、実質的に経営権を保持している場合、税務上は退職金と認められません。

たとえば、退任後も幹部会議への出席・代表者決裁への関与・実質的な意思決定権の保持などがある場合、退職の実態がないとして損金算入が否認されたケースもあります。

法人税基本通達9-2-32では、以下のような場合に分掌変更による退職金を認めています。

  • 常勤役員が非常勤役員になった場合
  • 取締役が監査役になった場合
  • 給与が概ね50%以上減少した場合

ただし、実質的な支配力が残っていると形式的な分掌変更とみなされ、否認されるおそれがあります。

■ 昇格に伴い退職金を受け取り役員となる場合

使用人が役員に昇格した場合、または使用人兼務役員が専任役員となった場合、使用人期間に対応する退職金は損金算入が認められます。

ただし、退職金が会社の退職金規程に基づき算定されていることが必要で、恣意的な支給は給与扱いとなります。また、退職金を未払計上しただけでは損金算入できず、原則として実際の支給が必要です。

支給決定の根拠や取締役会議事録などの証拠書類を整備しておくことが重要です。

■ 役員退職金を現物で支給する場合の注意点

退職金を不動産や株式など現物で支給する場合は、支給時点の時価評価が必要です。評価額が過大または過少であると、損金算入否認やみなし譲渡課税のリスクがあります。

退職金の支給を検討している場合は、税務リスクを回避するためにも、税理士への相談をおすすめいたします。

ご不明な点がございましたら、青山合同税理士法人までお気軽にお問い合わせください。

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