先端設備導入計画制度について
今回は、令和3年6月16日に施行された中小企業等経営強化法に基づく「先端設備導入計画制度」を紹介させて頂きます(令和5年税制改正)。
この制度は、中小企業が設備投資を通じて労働生産性の向上を実現するための計画を作成し、設備の導入先となる市区町村から計画の認定を受けた場合に、税制支援や金融支援などの支援措置を活用することができる制度です。このうち、税制支援について紹介致します。
【1.計画認定要件】
労働生産性が計画期間内(3~5年)に年平均3%以上向上することが見込まれること。
※労働生産性は以下の計算式により算出します。
*会計上の減価償却費
【2.受けられる税制支援】
①中小事業者等(※1)が、②令和5年4月1日 ~令和7年3月31日までの期間に、市区町村から認定を受けた「先端設備等導入計画」に基づき、③一定の設備(※2)を新規取得した場合、新規取得設備に係る固定資産税の課税標準が3年間、 1/2に軽減されます。
また、従業員に対する賃上げ方針の表明(※4)を計画内に記載した場合は、令和6年3月末までに取得した場合は5年間、令和7年3月末までに取得した場合は4年間にわたって1/3に軽減されます。
(※1)中小事業者等とは以下の通りです。
・資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
・資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
ただし、次の法人は、たとえ資本金が1億円以下でも中小事業者等とはなりません。
①同一の大規模法人(資本金もしくは出資金の額が1億円超の法人又は資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人超の法人、資本金又は出資金の額が5億円以上である法人との間に当該法人による完全支配関係がある法人等)から2分の1以上の出資を受ける法人
②2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人
(※2)「一定の設備」とは以下の通りです。
下の表の対象設備のうち、年平均の投資利益率(※3)が5%以上となることが見込まれることについて、 認定経営革新等支援機関の確認を受けた投資計画に記載された、労働生産性の向上に必要な生産、販売活動等の用に直接供される下記設備(償却資産として課税されるものに限る)。
設備の種類 | 最低金額(一台、一基または一の取得価額) | その他 |
機械装置 | 160万円以上 | |
工具 | 30万円以上 | |
器具備品 | 30万円以上 | |
建物附属設備 | 60万円以上 | 家屋と一体で課税される ものは対象外 |
(※3)「投資利益率」は以下の計算式で算出します。
*1 会計上の減価償却費
*2 設備の取得等をする翌年度以降3年度の平均額
*3 設備の取得等をする年度におけるその取得等をする設備の取得価額の合計額
(※4)「賃上げ方針の表明」の要件は以下の通りです。
従業員(国内雇用者)に対する給与等の総額(以下「雇用者給与等支給額」という。)を、計画申請日を含む事業年度(以下「申請事業年度」という。) 又はその翌事業年度において、申請事業年度の直前の事業年度と比較し、1.5%以上増加させる方針(以下「賃上げ方針」という。)を策定して、従業員に表明します。
なお、表明は、従業員全員ではなく、従業員の代表者のみに行うことも可能です。
先端設備導入計画制度の詳細につきましては中小企業庁のHPをご確認ください。
何かございましたら税理士法人 税務総合事務所まで、お気軽にお問合せください。